東日本大震災から10年。
テレビでは連日、失った家族への思いや、あの時とった行動、巨大地震の発生メカニズムや津波がどう襲ってきたのかなど、様々な特集が放送されています。
あの日、津波で黒い濁流が押し寄せた時、必死で水の中から屋根に這い上がり難を逃れた人達がいたそうです。しかし、雪が舞う寒い夜が明けると、その助かった人達は、屋根の上で凍死していたという話を聞き、すぐに助けに行ける人や、航走できる船が無かったということにとても悔しさを感じました。
今も戻らない家族を探し続けている人や、大事な人や住む場所を失った人の思いがどれほどのものか、想像すると胸が痛いです。
10年の間に、大きな地震が頻発するようになったと思います。ひどい水害や土砂災害も毎年発生するようになりました。
それは日本だけではなく世界中の至るところで。
今を生きている私達にはそれぞれ様々な想いがあると思います。
弊社の10年は、瓦礫の浮遊する水域でも進める救助用としてのエアボートを製造し日本に広めることでした。海外から輸入したものを販売するのではなく、目指したのは、日本の環境に合うように代表佐々木のアイディアで開発した「日本型エアボート」の普及です。
同時に、2017年9月に発生した鬼怒川決壊による水害をきっかけに、大きな水害が発生したときは被災地に赴き、エアボートでの救助活動も行った10年でもありました。代表の佐々木は生まれが仙台で、東日本大震災で多くの友人や故郷の景色を失った一人です。売上も上がらず手弁当での活動をすればするほど生活が苦しくなることはわかっていても、佐々木自身がやれることは、エアボートを作ることと救助活動に赴くことの2つしかなかったのです。
実際の水害現場では様々な学びや気づきがあり、それらは製品や操縦指導に反映できる部分も多いですが、一番実感したのは「スピード」。「早さ」「速さ」。
現地に駆けつける早さの重要性です。避難できずにいる人の多くが、電気もない、水も出ない、食料もない、寒い、という不安な状況なのです。その中で体調不良や持病の悪化など、少しでも早い救助を待っている人に安心してもらうこと。刻々と状況が変わる水害で、遠路駆けつけることはスピードがあるとは言えません。屋根の上で凍死した理由は、津波ではなく救助の遅れからなのです。まずはすぐに駆けつけられることが重要なのだと考えます。
この10年で辿り着いた思い。それは、より多くの地域にお届けできるよう、できるだけ軽量化しコンパクトにしたエアボートを作るということ。さらに安価であるということ。
多くの人員を載せる大型艇の役目と小回りが利き効率よく動ける小型艇の役目は違い、更に小型艇でも浅瀬に特化した専用艇の役目も違うのだと、この10年で感じています。その思いを形にしたのが新型エアボートなのです。
搭乗人員を少なくし船体を軽量化、岩の多い河川や寒冷地での使用にも適した素材で、手の届きやすい価格帯に近づけました。
一人でも多くの命を助けたいという願いと減災への祈りを込めて。完成までまもなくです。Coming soon!